こたつの電気代を調べると、1時間3円と書いてある記事と、1時間19円と書いてある記事があります。6倍ちがう。
同じことが1枚の商品ページの中でも起きていました。「1時間あたりの標準消費電力 強:約110Wh/弱:約50Wh」「1時間あたりの電気代 強:約3.0円/弱:約1.4円」と書いてある、そのすぐ下に「消費電力:最大600W」とある。600Wを1時間ぶん掛ければ18.6円です。同じ商品で3.0円と18.6円が並んでいる。
どちらも嘘ではありません。こたつはサーモスタットで点いたり切れたりするので、最大出力を出しっぱなしにはならない——だから実際に使うのは1時間あたり50〜200Whで、600Wという数字は「いちばん強く働いた瞬間」を指しています。定格Wで計算した電気代は、機器によっては実際の何倍にもなる。
先に、この記事の立場を書いておきます
ここに並べた数字を、私が電力計を当てて測ったわけではありません。やったのは、楽天市場の各商品ページに書かれている「消費電力(W)」と「1時間あたりの消費電力量(Wh)」「1時間あたりの電気代」を集めて、同じ表に並べ直すことです。
単価は31円/kWhに統一しました(全国家庭電気製品公正取引協議会が2022年7月に改定した目安単価)。27円/kWhで計算している記事や商品ページもあり、その場合は数字が約13%小さく出ます。比べるときは、単価が揃っているかを先に見てください。
表は2列に分けています。「メーカーが出している1時間あたりの電気代」と、「定格Wから計算した、最大出力で1時間使った場合」。この2つは意味が違うので、混ぜて並べると順位が入れかわります。
1時間あたりの電気代(安い順)
| 暖房器具 | 消費電力 | メーカー公表の 1時間あたり |
定格Wから計算 (31円/kWh) |
|---|---|---|---|
| 着る毛布 | 電気を使わない | 0円 | — |
| 湯たんぽ(お湯を入れるタイプ) | 沸かすときだけ | ほぼ0円 | — |
| 電気毛布(弱) | 40W | 約0.07円 | 1.24円 |
| 電気あんか(20W級) | 20W | 約0.16円 | 0.62円 |
| 電気座布団 | 27〜40W | 約0.4〜0.62円 | 0.84〜1.24円 |
| 電気あんか(60W級) | 約60W | 約1〜1.9円 | 1.86円 |
| こたつ(弱) | 最大600W/実使用50Wh | 約1.4円 | 18.6円 |
| こたつ(強) | 最大600W/実使用110Wh | 約3.0円 | |
| ホットカーペット 1畳 | 200W | 3.1円 | 6.2円 |
| 一人用こたつ(石英管) | 300W | 弱 約2円台/強 約4円台 | 9.3円 |
| ホットカーペット 2畳 | 400W | 5.6円 | 12.4円 |
| デスクヒーター | 60〜200W | 約4.9〜6.3円 | 1.86〜6.2円 |
| ホットカーペット 3畳 | 520W | 7.1円 | 16.1円 |
| 足温器 | 55〜60W | 公表なし | 1.7〜1.9円 |
| カーボンヒーター | 350〜800W | 公表なし | 10.9〜24.8円 |
| 電気ストーブ | 250〜1000W | 公表なし | 7.8〜31円 |
| セラミックヒーター | 1000〜1200W | 公表なし | 31〜37.2円 |
| オイルヒーター | 1200〜1500W | 公表なし | 37.2〜46.5円 |
※「メーカー公表」は各商品ページに数値が明記されていたもの。同じ器具でも機種で差があります。「定格Wから計算」は 消費電力(kW)×1時間×31円 で、サーモスタットが働かず最大出力を出し続けた場合の上限値です。
- メーカーが「1時間あたり」を出している器具は、定格Wから計算した値の2分の1〜18分の1で動いています。電気毛布の弱は40Wなのに約0.07円——計算値1.24円の18分の1です。
- 公表値が無い器具は、定格Wで計算するしかない。カーボンヒーターやセラミックヒーターは、暖まっても出力を絞る仕組みが無い機種だと本当にその数字に近づきます。
- だから「W」だけで横並びにすると、こたつと電気毛布が実際より高く見え、順位が入れかわります。記事によってこたつが3円だったり19円だったりするのは、これが理由です。
サーモスタットで切れる器具と、切れない器具
差がどこから来ているかを整理しておきます。
切れる器具(公表値と計算値が大きくひらく)
こたつ・電気毛布・電気あんか・電気座布団・ホットカーペットは、設定した温度に達するとヒーターが止まり、下がるとまた点きます。1時間のうち実際に電気を食っているのは一部だけなので、メーカーは「1時間あたりの消費電力量(Wh)」という別の数字を出します。ホットカーペットで見ると1畳200Wで3.1円、2畳400Wで5.6円、3畳520Wで7.1円——どれも定格Wから計算した値のおよそ半分です。
切れない器具(計算値がそのまま近い)
カーボンヒーター・セラミックヒーター・電気ストーブ・オイルヒーターは、スイッチを入れているあいだ出力を出し続けます。だから700Wのカーボンヒーターは1時間21.7円で、これは計算どおり。出力を自動で絞るモードを持った機種だけが例外で、たとえば通常1150Wから「ゆらぎモード」で200W前後まで落とす電気ストーブがあります。ここが電気代の分かれ目になります。
1か月でいくら変わるか
寝るとき・足元に使うもの(1日8時間×30日=240時間)
| 器具 | 1時間 | 1か月 |
|---|---|---|
| 電気毛布(弱) | 約0.07円 | 約17円 |
| 電気あんか(20W級) | 約0.16円 | 約38円 |
| 電気座布団 | 約0.62円 | 約149円 |
| こたつ(弱) | 約1.4円 | 約336円 |
| こたつ(強) | 約3.0円 | 約720円 |
| ホットカーペット 1畳 | 3.1円 | 約744円 |
| 一人用こたつ(強) | 約4円 | 約960円 |
| デスクヒーター | 約5円 | 約1,200円 |
| ホットカーペット 2畳 | 5.6円 | 約1,344円 |
部屋を暖めるもの(1日3時間×30日=90時間)
| 器具 | 1時間 | 1か月 |
|---|---|---|
| カーボンヒーター 300W | 9.3円 | 約837円 |
| カーボンヒーター 700W | 21.7円 | 約1,953円 |
| 電気ストーブ 1000W | 31円 | 約2,790円 |
| セラミックヒーター 1200W | 37.2円 | 約3,348円 |
| オイルヒーター 1500W | 46.5円 | 約4,185円 |
※使う時間を変えれば比例して変わります。部屋暖房を1日8時間にすると、上の金額はおよそ2.7倍になります。
「AとB、どっちが安いのか」
こたつと電気毛布
電気毛布です。こたつの弱が約1.4円、電気毛布の弱が約0.07円で、20倍ひらきます。ただし同じ用途ではありません。電気毛布は布団の中で体に直接あてるもの、こたつは座っている数人の下半身をまとめて覆うものです。1人で寝るあいだの暖房なら電気毛布、家族でテレビを見る時間ならこたつ、と使う場面で決まります。→ 電気毛布のおすすめ5選/こたつのおすすめ5選
こたつとホットカーペット
畳数しだいで逆転します。こたつは弱1.4円・強3.0円、ホットカーペットは1畳3.1円・2畳5.6円・3畳7.1円。1畳のカーペットとこたつの強がほぼ同じで、2畳を超えるとカーペットのほうが高くなります。面積を暖めるぶん電気を使うので、当然といえば当然です。→ ホットカーペットの高評価4選/電気カーペットの4選
電気あんかと湯たんぽ
お湯を入れる湯たんぽは、使っているあいだ電気を使いません。電気は沸かすときだけです。電気あんかは20W級で1時間約0.16円——1か月使っても約38円なので、金額の差はほとんど無いと考えていい。分かれるのは手間のほうで、湯たんぽは毎回お湯を用意する必要があり、朝までには冷めています。→ 電気あんかのおすすめ5選/湯たんぽの選び方10選/充電式湯たんぽの5選
電気ストーブとこたつ
桁が違います。1000Wの電気ストーブが1時間31円、こたつの強が3.0円で10倍。電気ストーブは空気ではなく体を直接暖めるので立ち上がりが速く、脱衣所や洗面所のように短時間だけ使う場所に向いています。つけっぱなしにする器具ではありません。→ 電気ストーブのおすすめ5選/カーボンヒーターのおすすめ5選
足元だけ暖めたいとき
安い順に電気座布団(約0.4〜0.62円)、足温器(1.7〜1.9円)、デスクヒーター(約5円)。座布団は座面、足温器は足そのもの、デスクヒーターは机の下の空間と、暖める対象が違います。→ 電気座布団のおすすめ5選/足温器のおすすめ5選/デスクヒーターのおすすめ5選
電気を1ワットも使わない選択肢
着る毛布は電源が要りません。部屋の暖房をひとつ下げても平気になるなら、金額の差はいちばん大きくなります。→ 着る毛布のおすすめ5選/腹巻きのおすすめ5選
よくある質問(FAQ)
まとめ
暖房器具の電気代でいちばん間違えやすいのは、商品ページのいちばん目立つところに書いてある「消費電力◯◯W」を、そのまま電気代の計算に使ってしまうことです。こたつも電気毛布もホットカーペットも、その数字は最大値で、実際に払う金額はその2分の1から18分の1でした。
手元の商品ページを開いたら、「1時間あたり」と書かれた行があるかどうかを先に探してみてください。あればそれが答えで、無ければ定格Wから計算した上限値で見ておく。それだけで、記事ごとに6倍ひらいていた数字が揃います。


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